☆日本語教師の学習57/学習ストラテジー

ストラテジー

ある目的を達成するための様々なやり方、方略。

言語学習ストラテジー

byオックスフォード

学習をより易しく、より早く、より楽しく、より主体的に、より効率的に、かつ新しい状況に素早く対処するために学習者がとる具体的な行動。

直接ストラテジー

学習に直接かかわる

記憶ストラテジー

情報の記憶や想起に使うストラテジー

語呂合わせ 何度も書く イメージやキーワードで覚える

認知ストラテジー

言語学習での実用的なストラテジー

辞書で調べる 目標言語と母語を対照して分析する 重要事項に線を引く ノートに自分の言葉でまとめる

補償ストラテジー

言語知識の不足を補うためのストラテジー

わからない単語の意味を文脈から推測する 知っている言葉で言い換えたり、ジェスチャーなどで補ったりする

間接ストラテジー

学習を間接的に支え、学習のための条件を整える

メタ認知ストラテジー

学習過程を調整するためのストラテジー

学習目標を掲げる 弱点を知り、弱点を克服するための学習計画を立てる

情意ストラテジー

自分の精神的な安定を保つためにとるストラテジー

音楽を聴いてリラックスする 緊張をとるためにお茶を飲む 自信がつくまで十分な準備をする

社会的ストラテジー

環境や周囲の人を利用するストラテジー

図書館を利用する 目標言語話者の友だちをつくる 書いたものをチェックしてもらう

日本語教師の役割

学習者が自分に合ったストラテジーを見つけることを援助する

コミュニケーション・ストラテジー

話し手と聞き手の間で意味が共有されない時に、その両者が意味にたどりつこうとするお互いの努力 byタローン

回避

自信のない表現などを避ける

語彙力がなくて表現できないものを表現しない 複雑な文法構造を使わずに、別の構造を使って表現する

言い換え

別の語彙や表現などを利用し、言語不足を補う

ある語をそれに似通った別の語で表現する 学習者が新しい語をつくる 適切な語を使わず、表現したい内容を別の言い方で説明する

援助要求

母語話者などに助けを求めること

聞き取れなかったときにもう一度発話してもらう ゆっくり話してもらう 辞書を使う

意識的な転移

母語またはほかの言語による翻訳に依存する

わからないところだけ母語を使う

転移

第二言語の学習過程で、母語・第一言語からの影響を受けること。

正の転移

共通する文法や音声、文字が習得を促進する。

例:日本語と中国語は「修理」が同じ

負の転移(母語の干渉)

母語・第一言語が第二言語習得の妨げになる。母語の干渉

例:韓国語には「つ」「ず」がないので、つくえ⇒ちゅくえ ずっと⇒じゅーと

ジェスチャー

身振り手振りに頼る

コードスイッチング

場面や相手によって使用する言語、態度を切り替えること

第二言語習得研究

モニター・モデル byクラッシェン

習得・学習仮設

習得と学習は独立している。習得が第二言語の発話を引き起こし、学習で得た知識はチェックする機能でしかない。

自然順序仮説

第二言語習得には普遍的な自然な順序がある。

モニター仮設

学習者が、学習によって得られた知識を利用して自分で修正やチェックをする

インプット仮説

i+1

現在のレベルよりもわずかに高い理解可能なレベルをインプットしたときに進歩する アウトプット自体は言語能力向上には関係しない

例:カナダでのフレンチ・イマージョン教育 色々な科目教育をフランス語で行う

情意フィルター仮説

情意(不安や緊張)があるとインプットされない 情意が第二言語の習得に影響する 情意フィルターがなくなると習得しやすくなる

ナチュラル・アプローチ

提唱者のテレルはクラッシェンの第二言語習得離婚仮設を応用した

ナチュラル・アプローチについては「日本語教師の学習/外国語教授法」のページを参照

インターアクション仮説 byロング

他者との言語を使ったやり取り

意味交渉=お互いの意図が通じるよう工夫する対話

明確化要求

相手の発話が不明確で理解できない時に、発言を明確にするよう要求する

確認チェック

相手の発話を自分が正しく理解しているかどうかを確認すること

ロングの言語形式の焦点化 については「日本語教師の学習/外国語教授」のページを参照

アウトプット仮説 byスウェイン

言語習得を促すには、理解可能なインプットだけではなく、相手に理解してもらえるようなアウトプットを試みることが必要

学習障害

学習障害とは

学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態をいいます。

出典:文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00808.html

ディスレクシア

発達性ディスレクシアの読字や書字の特徴には、以下のものがあります。

  1. 文字を一つ一つ拾って読むという逐次読みをする
  2. 単語あるいは文節の途中で区切って読む
  3. 読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む(これらは音読の遅延、文の意味理解不良につながる)
  4. 文字間や単語間が広い場合は読めるが、狭いと読み誤りが増えて行を取り違える
  5. 音読不能な文字を読み飛ばす
  6. 文末などを適当に変えて読んでしまう適当読み
  7. 音読みしかできない、あるいは訓読みしかできない
  8. 拗音「ょ」促音「っ」など、特殊音節の書き間違えや抜かし
  9. 助詞「は」を「わ」と書くなどの同じ音の書字誤り
  10. 形態的に類似した文字「め・ぬ」等の書字誤りを示す

出典:厚生労働省ホームページ https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html

ろう者の言語

第一言語:手話

第二言語:日本語

言語権

自らが望む言語を自由に使用できる権利

日本語能力試験の受験上の配慮

視覚障害 聴覚障害 運動障害 発達障害 に対し、 問題用紙の拡大 点字による出題 試験時間の延長 補聴器の使用 別室受験 などで対応している

日本語教育人材に共通して求められる資質・能力

日本語を正確に理解し、的確に運用できる能力を持っていること。

多様な言語・文化・社会的背景を持つ学習者と接する上で、文化的多様性を理解し、尊重する態度を持っていること。

コミュニケーションを通じてコミュニケーションを学ぶという日本語教育の特性を理解していること。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です