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被相続人が認知症の場合の相続
被相続人(相続される人・亡くなった人)が認知症であっても、相続人(遺産を相続する権利のある人)に認知症の人がいなければ、通常の相続と変わりありません。
ここで言う認知症とは、医師に認知症と診断されたら、認知症というわけではありません。
相続手続きが出来る状態かどうかということです。
例えば、会話も出来ない状態でしたら認知症ですし、会話が出来て話を理解し自分の意志を伝えられれば、大丈夫です。
遺言書の効力
「遺言書」がある場合は、その遺言書が認知症になる前に作成されたものであれば有効ですが、認知症になった後に作成されたものでしたら、無効となってしまいます。
遺言書は、認知症になる前に作成しておくことが必要です。
相続手続き方法
遺産分割協議を行うことが可能です。
預貯金
遺産口座のある金融機関へ、遺産の通帳・証書と相続人全員の実印と印鑑登録証明書を持参し、金融機関所定の相続に関する依頼書に必要事項を記載し依頼します。詳細は各金融機関へ確認が必要です。
不動産
相続人が複数の場合は、複数名義で相続が可能です。
複数名義での相続登記は、売却時などに手続きが煩雑になる為、名義は一人にした方が望ましいです。
相続人が不動産の相続を望んでいない場合などには、不動産を現金化して、それを分割する方法もあります。
相続人が認知症の場合の相続
法定相続による相続手続き
法定相続人が法定相続分ずつ財産を引き継ぎます。
預貯金
相続人(遺産を相続する権利のある人)に認知症の人がいる場合、「遺産分割協議」が出来ないため、相続手続きは困難です。
不動産
法定相続人が法定相続分で共有する形で相続登記が出来ます。
複数名義での相続登記は、売却時などに手続きが煩雑になる為、名義は一人にした方が望ましいです。
その為には、事前に遺言書が必要です。
不動産の売却については、認知症の相続人がその不動産(自宅)に住まないということを証明できなければ難しいようです。
遺産分割協議による相続手続き
預貯金及び不動産
相続人(遺産を相続する権利のある人)に認知症の人がいる場合(金融機関がそれを認識している場合)、「遺産分割協議」が出来ないため、認知症の相続人の平成後見人立てなければ、相続手続きをすることが出来ません。
相続人が認知症になる前は「任意後見」といい、本人が自分で後見人を選ぶことが出来ますが、既に認知症の場合は、「法廷後見」といい、裁判所に選定してもらうことになります。しかし、後見人の選択希望があり、認知症相続人の財産が少ない場合(1,000万円以下)の場合は希望通り(例えば親族)に選択される可能性もあるようです。
相続手続き事前対策
遺言書
被相続人が事前に「認知症の相続人以外の相続人に相続する」旨の遺言書を作成しておくことで、認知症の相続人が相続対象から外れますので、遺言書通りの相続が可能になります。
但し、遺言書作成時に被相続人が認知症ではないことが条件になります。
定期預金の解約
預金者が無くなった場合、定期預金は凍結され、解約できなくなります。
その他の相続手段
預貯金
「認知症の相続人が無くなるまで相続手続きをしない。」という手段もあります。
認知症の相続人が亡くなった時に、残った相続人に認知症の人がいなければ、法定相続による相続手続きが可能になります。
不動産
2024年に相続登記が義務化される予定です。義務化される前であっても、その不動産を売却するなどを想定すると、相続登記はしておいたほうがよいでしょう。
認知症の相続人が亡くなった時に、亡くなった人から残された相続人へ相続登記をすれば、残された相続人の意思で売却も可能になります。
注意事項
死亡した時、税務署が故人の過去10年間の入出金履歴を閲覧できるので、未届けの生前贈与は、死亡時に発覚するリスクがあります。
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