★日本語教師の学習41/言語学の諸概念・言語学の諸分野

言語とは

音声を媒体手段として意味を伝えるもの

音声と文字

「音声」は一時的なもので「文字」は二次的なもの

言語の4技能

1.聞く 2.話す 3.読む 4.書く

理解(受容)⇒表現(産出) 聞く⇒話す

言語学の諸分野

音声学・音韻論

発音のしくみ、音の認識のしかた、アクセント、イントネーションを扱う。

形態論

活用や接続など、語を構成する要素の分析や形態変化を扱う。

統語論

語の並びや文レベルの語順を扱う。

意味論

語レベルや文レベルの意味を扱う。

語用論

文脈や対人関係などを考慮し、特定の状況における分の解釈を扱う。

オーディオ・リンガル・メソッド

正確な言語知識を「文型」として暗記・暗唱する。

倫理的基盤

構造言語学、行動心理学

言語観

言語は構造、言語の基本は音声

到達目標

話せるようになること (正しい文を口頭で発する)

指導法・練習法

教師主導:徹底した模倣、反復のミム・メム練習

文型に語句を代入するなどのパターン・プラクティス(文型練習)を繰り返す。

長所

文法を体系的に学習できる。反復による記憶促進。正確さの向上。

短所

反復練習が単調になりがち。意味の学習が不足するため、コミュニケーション能力が育ちにくい。

コミュニカティブ・アプローチ

コミュニケーション重視しようとした考え方

目標・目的

コミュのケーション能力の向上 文法の習得ではなくタスクの達成

正確な文を作れるだけでなく、場面や状況に応じた言語使用が必要 Byハイムズ

伝達能力

文法能力 社会言語学的能力 ストラテジー能力 談話能力

理論的基盤

ハリデーの言語機能理論 ハイムズのコミュニカティブ・コンピテンス

言語観

言語は機能である 依頼、勧誘、断り など

モロウによる指導法5原則

1 教室活動では学習者も教師も自分がしていることを自覚しなければならない。

2 言語の部分だけではなく全体にも目を向けて学ばなければならない。

3 伝達過程も言語形式と同様に重要である。

4 言語学習には経験が大切である。

5 学習者の誤りは必ずしも誤りではない。

指導及び練習方法

学習者の中心は学習者。活動タスク(課題)を重視した活動。

現実のコミュニケーションと同様:インフォメーションギャップ(情報差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)の3要素を重視した教室活動

指導する際の注意点

実際に近い場面を採用 学習者の発想を生かす

インフォメーションギャップ

話し手と聴き手の間に存在する情報差。実際のコミュニケーションでは、両者の間に何らかの情報差異があり、それを埋める為に会話し情報を共有する。

チョイス

実際のコミュニケーションにおいて参加者が持っている選択肢の自由のこと。選択権。

ロールプレイ

会話の目的、状況、役割等を設定し、与えられた役割に応じて会話を進める練習。

長所

ニーズに沿って学べる 習ったことを応用しやすい

短所

体系的に学べない 意思疎通ができれば多少の誤りがあっても許容するため正確さが向上しない可能性もある

言語記号の特徴

言語機能の「二面性」

スイスの言語学者ソシュール

能記(シニファイン):表像(形)

所記(シニフィエ):観念(意味)

恣意性(しいせい)byソシュール

・記号の二つの側面である「能記」と「所記」の結びつきには必然性はないこと。

・言語においても、形式(音声や文字など)と意味の関係は偶然に結びついたもので、ある意味に対して特定の形式が対応しなければならないという必然性はない。

線条性byソシュール

・ことばの理解は、時間の流れに沿って並んで出てくる音声を聞くことにより可能になる。

・ある語を発音する時、その語に含まれる音声を同時に発音したり、順序を入れ替えたりしては成り立たず、決まった順序で発音されなければならない。

・表記も文字の配列順序が決まっている。

二重分節性 マルチネ

言語の経済性(有限の素材)と創造性(無限の現象)の基盤

文は、まず、いくつかの語に分節でき、さらにその語はいくつかの音声に分節できる

通時態と共時態 byソシュール

「時間」という次元を考慮した場合の、ことばの持つ二つの側面のこと

通時態

歴史的に時間の流れに沿って変化する側面

共時態

一点時の静止状態としての側面

無標と有標と中和

無標

対立する二つの言語形式がある場合、より一般的で制約が少ないほう。:食べる

有標

対立する二つの言語形式がある場合、ある特徴を積極的に表す、特殊なほう。:食べます

中和

有標、無標の選択がなく、一つの形式でしか表す事が出来ないこと。:食べるもの

音韻論

音素

・ある個別言語において同じ役割・機能をもつ(同じ音として認識される)音声の集合。

・//で表される。発音できない抽象的な単位。

異音

抽象的な音素が具体化したもの。

拍(モーラ)

仮名1文字分に相当する日本語の音の単位

拗音(ようおん):しゃ、ぎゃ、ぴょ

特殊拍

撥音(はつおん):ん

促音:っ(小さい「っ」)

長音(引く音):ー  例:高校(こうこう)⇒こーこー

音節

拍とは別の単位。拍から特殊拍の「ん、っ、ー」を除いたもの。

アクセント

「高」と「低」の2段の高さアクセント(ピッチアクセント)

例:雨、飴、お菓子

イントネーション

文を単位とする声の高さの時間的な変化

形態論

形態素

意味を担う最小の単位であり、それ以上分けられない抽象的な単位。形態論の概念で{ }で示される。

例:雨雲⇒{アメ}+{クモ} 筆箱⇒{フデ}+{ハコ}

異形態

同じ意味・機能を持つ形態素が特定の環境・条件によって、具体的に現れたもの。

例:雲{kumo}⇒ kumo と gumo 本⇒ hon bon pon

自由形態素

単独で語になる事が出来る形態素

例:yama kasa ame kumo

拘束形態素

単独で語になることができない形態素

例:お話⇒o 高さ⇒sa 重み⇒mi 不参加⇒fu

語彙的形態素

語彙的な意味を持つもの

文法的形態素

文法的な意味を持つもの

語彙的な意味を持つ「拘束形態素」について

・形態素のうち、語葉的な意味を持つものは、単独で語になれる 「自由形態素」である場合が多い。
具体的な意味内容を持っているということは、語になりやすいからだ。
・しかし、動詞や形容詞など活用のある語の語葉的形態素は、単独では語になりにくい。
・例えば、動詞「食べる」や形容詞「長い」などは一語のように見えるが、形態論的に見れば,それぞれ2つの形態素からできていると言える。
・「食べる」は{tabe)と{ru}の2つの拘東形態素から、「高い」も{taka}と{i}の2つの拘東形態素から成っているのである。
・このように、動詞や形容詞のような活用がある語の形態素は、語葉的形態素であっても、単独では語になりにくい「拘東形態素」が多い。

語基

語を構成する要素のうち、意味的な中核となるもの。

接辞

語基の意味を補ったり、文法的な機能を担ったりするもの。

接辞

接頭辞

「語基(意味の中心)」の前に付くもの。例:非効率的の非

接尾辞

「語基(意味の中心)」の後に付くもの。例:非効率的の的

派生接辞

品詞を変えるなど、ある語から別の語をつくる働きをもつもの。

屈折接辞

テンス(過去)やヴォイス(受身)など文法的機能に関わる働きを持つもの。

異形態の基本的なルール

他の形態素と隣り合う位置でしか変化は起きない。

例:「酒」sakeの場合、甘酒sake 酒屋saka 居酒屋zaka

連濁

形態素の先頭の無声子音sが有声子音zに変化する

転音

形態素の最後の母音eが変化aする

音韻添加

まれに、雨⇒小雨 のように前にsが入る

 

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