日本語教師の学習97/中上級文法項目の扱い

中上級の文法指導

初級と中上級との違い

初級

易しいものから難しいものへの積み上げ方式

中上級

構造的な特徴よりも、機能ベースでの学習になる

新たな文型・新出表現を学ぶ場合、それと類似した意味を表す文型・表現を既に学んでいることが多いので、既習文型・既習表現が利用できる。

既習文型・既習表現との使い分けを学習する。

新たな文型・新出表現 と 既習文型・既習表現 の例

■~わけがない ~わけではない

(そんな理由はない)

~はずがない 絶対に~ない ~はずがない

■~ざるを得ない

意味:他に選択肢がない場合 仕方ない フォーマルな表現

~べきだ ~しかない ~なければならない ~なくてはならない

■~をめぐって

意味:争う意味合い

~について ~に関して

文型指導のポイント

既習項目との関連性(類似点・相違点)を正確に教えること。

具体的な用例を通じて「使い方」を教える。「意味」は用法によって定まる。

用例は、真正性も必要。「そういう場面あるある!」

会話文だけでなく、文章も使う。

場面(書き手・誰に対してなどの情報)や文脈を明確にすること。

~てから

~<動詞のテ形>て + から~

意味

複数のことを継起的に行うことを述べる。 ただし、「…て、…」 とは異なり、行為の順番が強調されている。

使い方/用法

したがって、行為の順番を問う場面や、行為の順番にこだわる場合に用いられる。

 

Nに)(Nが)~てあります

~<動詞のテ形>て + ある/あります

意味

誰かが (しばしば後の便宜を図る目的で) 意図的に行った行為の結果の継続。

使い方/用法

誰かが意図した行為である点、および、結果が継続している点の両方が文脈に現れているとよ
い。

~たことがあります

~<動詞のタ形>た + ことが あります

意味

経験

使い方/用法

過去の行為等から得た知見が、発話時にも有効であること、発話時において「知っていること」
や 「できること」 が過去の行為等によることを述べる。 したがって、“現在、有している知見” や “現在の能力” を話
題にした場面にすると、文脈が作りやすい。

~たばかりです

<動詞のタ形> た + ばかり (だ/です)

意味

「ばかり」 は、およその程度を表す。

使い方/用法

ある事象が成立すると期待できるだけの十分な時が経っていないことを言う際に用いられる。
時間的に “直前” なのではなく、何らかの期待感に対して、時間が十分でないと言う際に用いる。

 

 

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