日本語教師の学習92/主要な文法項目2

テンス

時を表す文法カテゴリー

過去、現在、未来を表すテンス

タ形

過去を表す

ル形

未来・現在 を表す

述語の分類

動き動詞

時間の流れの中で展開する事態

動き動詞のル形は未来を表す。

動作動詞 変化動詞

状態述語

時間的な展開の過程がない事態

状態性述語のル形は現在の状態を表す。

状態動詞 形容詞 名詞述語

ル形の恒常的な表現

過去・現在・未来という枠にはとらわれない。

ル形で表される事態が、個別の出来事ではなく、一般的な事態・繰り返し(習慣)・不変の真理・規則などの場合、時間に関係ない表現になる。

完了のタ形

朝ご飯を食べましたか

⇒食べました:過去

もう朝ご飯を食べましたか

⇒食べました:完了

⇒食べませんでした:過去

⇒食べていません:完了

テンスとは異なる特殊な意味を持つタ形

相手を促す

探していたものを発見した

さあ、買った買った!本日限りの大特価~!!

忘れていたことを思い出した

知らなかった事実に気づいた

従属節の中のル形・タ形

節述語を中心としたひとまとまり

単文

述語が1つだけの文

複文

述語が2つ以上ある文

例:私は妻が作った料理を食べた。

主節:文全体を取りまとめる主述を中心とした部分

⇒私は料理を食べた

従属節:文の中に埋め込まれた部分

⇒妻が作った

絶対テンスと相対テンス

絶対テンス

時を判断する基準は発話時

発話時より前:タ形  A さんは~した。
発話時より後:ル形  A さんは~する。
発話時と同時:ル形  A さんは~している。A さんは~にいる。

相対テンス:時を判断する基準は発話時ではなく主節の事態の時となる。

主節のテンスは絶対テンス

わたしが日本へ来るとき、友達が集まってくれた。
従属節(相対テンス) 主節(絶対テンス)

わたしが日本へ来たとき、友達が集まってくれた。
従属節(相対テンス) 主節(絶対テンス)

アスペクト

動詞が表す出来事の段階、「開始」「継続」「完了」など動きの局面を示す

アスペクト表現の例

開始

~はじめる
~だす

継続

~つつある ~ている
~ていく

終了

~やむ
~ばかりだ

完了

~てしまう
~きる

経験

~たことがある

結果

~てある

アスペクト表現の形式

補助動詞

~ている ~てある ~ておく

複合動詞

~始める ~続ける ~終わる

形式名詞

~ところだ ~たことがある

「~ている」の用法

動きの進行

時間的に継続して行われる動作

雪が降っている

動きの結果の状態

動作による変化が結果として見える。

雪が積もっている

繰り返し

「毎日、毎週、たいてい、よく」などの語と共起する。

毎朝ラジオ体操をする

状態の継続

続いているという点では「動きの進行」に近く、状態を表すという点では「動きの結果の状態」に近い。

私は会社で働いている

経験

「~回」「~年前」などの回数や時を表す語と共起し、動作がこれまでに起こったことであることを表す。

ヨーロッパへ3回も行った

動詞の分類

状態動詞

ル形で現在の状態を表す
いる ある 存在する

継続動詞

「~ている」をつけると通常動きの進行を表す
食べる 飲む 降る 書く

瞬間動詞

「~ている」をつけると通常動きの結果の状態を表す
落ちる 汚れる   壊れる

第4種の動詞

「~ている」をつけて状態の継続を表す。ル形での使用は不自然
優れる ありふれる ずばぬける そびえている

「~てある」の用法

動きの結果の状態を表す。特に、意図的な動きの結果の状態を表す。

「~ている」との違い

~ている:客観的に見たままを述べる。

意志動詞

人の意志的な動作・行為。人の意志でコントロールできる動作・行為
例 :食べる 書く つける

無意志動詞

人の意志的な動作・行為ではない。人の意志でコントロールできない動作・行為
例 :あく 光る

無対他動詞の場合

意図的、客観的どちらも表す。

モダリティ

話者が事柄をどのようにとらえるか、それを聞き手にどのように伝えるかを示す形式

対人的モダリティ

聞き手に対して何らかの働きかけをする

勧誘

〜ませんか
~ましょう

依頼

〜てください
~てくださいませんか

命令

〜なさい

許可

〜てもいい

禁止

〜てはいけない
〜ちゃだめ

質問

〜か
~の

確認

〜よね

対事的モダリティ

命題に対する話し手の捉え方を伝える

推量

〜らしい
〜ようだ
〜みたいだ
〜そうだ

伝聞

〜そうだ

確信

〜はずだ
〜にちがいない

説明

〜のだ

だんです

説明

〜わけだ

非断定

〜と思う
〜だろう
〜でしょう

可能性

〜かもしれない

断定・意志

何も付かない

対事的モダリティと対人的モダリティの両方

〜ものだ 〜ことだ  〜べきだ

ダイクシス

視点の置き方に依存する性質。直示。

発話された文脈に意味が依存する

視点の置き方によって語を使い分けるダイクシスの代表的な表現

人称

人称代名詞:私 あなた 彼

空間

指示詞:話し手のいる場所が基準

ここ そこ あそこ

左右前後

時間

発話時との関係

今日 昨日 明日 来年 10年後

談話

発話時よりも前や後の発話を指定する

あの件、

ダイクシスが関わる動詞

話し手の視点を基準に使い分ける。

行く・来る

売る・買う

あげる・もらう

 

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