日本語教師の学習91/主要な文法項目1

日本語教育文法と国文法の違い

国文法

日本語が使える人のための文法

日本語が分からない人にとっては役に立たない

日本語教育文法

日本語を使えるようにするための文法

特徴

最初に教える動詞の形は「マス形」

動詞の活用 3つのグループ

1グループ:五段活用の動詞

2グループ:上一段、下一段活用の動詞

3グループ:変格活用の動詞

形容詞

形容詞:イ形容詞

形容動詞:ナ形容詞

分のパターンで覚える

~は~が好きです。 ~は~たことがあります。

文型と場面、機能

文型だけを教えるだけでは不十分。

場面・機能がなければ運用力は身につかない。

日本語の運用力を身に付けるためには、文法の知識だけを教えるのではなく、それが用いられる場面 、またその機能が明確に示されている必要がある。

それぞれの場面で用いられる文型と品詞

指示詞「こそあ」

名詞的用法、連体詞的用法、副詞的用法に分かれる

名詞的用法:これ・それ・あれ・どれ

連体詞的用法:この・その・あの・どの

副詞的用法:こう・そう・ああ・どう

指示詞の用法

現場指示

発話の場面で直接指示される

話し手と聞き手が対立する場合、現場指示では通常話し手と聞き手は対立する関係にある

こ:話し手の領域にあるもの
そ:聞き手の領域にあるもの
あ: 両者の領域にあるもの

話し手と聞き手が対立しない領域

話し手と聞き手が接近している場合、両者が対立しない「共有の場」が形成される。

こ: 話し手と聞き手の近くにあるもの
そ: 話し手と聞き手から少し離れたもの
あ: 話し手と聞き手から遠くにあるもの

文脈指示

話の中で話題となった事柄を指し示す

最も基本的で使用する頻度も高いのは「そ」と「あ」の使い分けである

・相手が話した要素を受ける場合は「そ」を用いる。

・話し手と聞き手が共に知っていることについて話す場合は「あ」を用いる。

・ 直後に話そうとしている要素には「こ」を用いる。

・ 記憶の中にある要素には「あ」を用いる。

基本的な動詞文

動詞の種類

・自動詞 :「ヲ格」の目的語を取らない動詞
・他動詞 :「ヲ格」の目的語を取る動詞
・移動動詞:主体の移動を表す動詞
・授受動詞:物のやりもらいを表す動詞

格助詞

述語との文法関係を示す

が・を・に・で・から・と・へ・より・まで

動詞のパターン

動詞によって必須の格が異なり、格助詞の組み合わせにはパターンがある

自動詞のパターン:~が+動詞

他動詞のパターン:~が~を+動詞

移動動詞のパターン:~が~へ+動詞

授受動詞のパターン:~が~に~を+動詞

助詞

格助詞の用法

ガ格、ヲ格、ニ格、デ格、カラ格

ガ格

主体・対象

ヲ格

対象・移動の起点・移動の経路

ニ格

場所(存在を表す)・時

デ格

場所(動作をする場合)・原因・期限や限度・道具

カラ格

場所の起点・時の起点

取り立て助詞

文の成分に特別な意味を加える

は・なら・も・だけ・しか・ばかり・こそ・さえ・まで・でも・など・なんか・なんて

「は」:主題・対比を表す

並列助詞

対等な関係で語を結ぶ

と・や・とか・だの・か

接続助詞

従属節と主節をつなげる

と・なら・が・けれど・のに・から・し

終助詞

文末に付く

か・かな・よ・ね・さ・なあ・よね

複合格助詞

複数の品詞から成る

に対して・のために・として

「は」の用法

主題を表す

私は学生です。

対比を表す

犬は嫌いだが猫は好きではないです。

「が」と「は」の使い分け

新情報と旧情報

新情報は「が」、旧情報は「は」

排他と対比

排他は「が」、対比「は」

現象文と判断文

現象文は「が」、判断文は「は」

形容詞

形容詞の種類

イ形容詞:おいしい

ナ形容詞:しずかな

属性形容詞 :性質や状態などの属性を表す 大きい 小さい

感情形容詞 :人の感情や感覚などを表す 嬉しい 悲しい

連体詞との違い

連体詞:連体修飾だけの機能を持つ。 活用がない。

・動詞の形に似ているもの :ある・あらゆる・いかなる
・「~の」という形のもの :この・その・ほんの・例の
・「~な」という形のもの :大きな・小さな・おかしな

連体修飾

文法のルール

「修飾」+「被修飾」

~が「動詞普通形」+名詞

連体修飾の分類

内の関係: 被修飾名詞が、修飾名詞節の内に入る。

外の関係 :被修飾名詞が修飾名詞節の外にある。

用法の分類

限定用法 :普通名詞を修飾し特定の意味を加えることで する。

非限定用法 :特定の意味を加えるのではなく、説明をする。

「が」と「の」の交替

名詞修飾節の中では主語を表す「が」と「の」の交替が可能である。

これは私が作ったケーキです。これは私の作ったケーキです。

副詞

活用しない。主に述語を修飾する連用修飾語として機能する。

副詞の分類

情態副詞(状態副詞・様態副詞)

主として動詞にかかる。動作や作用の様子を説明する。

程度副詞

述語が表す動作や状態の程度を表す。名詞や副詞を修飾することもある

陳述副詞(呼応の副詞)

述語の陳述を表し、文末と呼応する。

例:きっと(・・・だろう) 決して(・・・ない)もし(・・・なら)

存在文

「います」「あります」の使い分け

います

人や生き物

~に~がいます

あります

~があります。

場所

~があります。

「は」と「が」の使い分け

何があるかを教える場合

~はあります。

何があるか知らない場合

~があります。

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