日本語教師の学習133/「聞く」教室活動

「聞く」教室活動

「聞く」と「読む」の違い

「読む」は読み返しが可能で、自分のペースで可能だが、「聞く」は聞き返し不可能で、自分のペースで聞くことが不可能。

聞くこととは

音声のインプット

聞こえる:意識しなくても自然に入ってくる

聞ける:条件を満たさないと出来ない

聞き取れる:意味を理解する⇒聴解

対面聴解

相手と向き合って、直接話を聞く

非対面聴解

ラジオ、テレビ、CD、アナウンスなど

話し手の話し方の癖

場面が様々 未習の語彙 文体が多種

日常生活の「聞く」

天気予報 買物の会話 鳥の声 ニュース

聴解授業でも様々な種類を聞かせる必要がある

聞くために必要な言語知識

<例>天気予報

冬型 低気圧 しだいに 地域の名前 木枯らし 梅雨 前線 さくら 紅葉 注意報 警報 寒暖の差 日中 朝方 夕方 深夜 降水量 パーセント 晴れ 雨 雪 台風 ぽかぽか じめじめ 強い

でしょう かもしれません のち 時々 所により しましょう 大丈夫です 一時 と思われます から~にかけて にわたって

「聞く」ために必要な能力

スキャニング:欲しい情報を聞き取る

スキミング:大体の内容を聞き取る

予測:聞いた内容を次の行動に結びつける

インターアクション:わからなかったことを質問する

聞くためのストラテジー

目的を持って、必要な情報を選別しながら聞く
聞きながら想像したり、先を予測したりする
聞いた内容を自分の背景知識や経験と照合する
知らないことばや聞き取れない部分がわかる
理解できないことは、推測したり、質問したりする
聞くことを通して言葉を学習する
聞いた内容についてコメントするなど反応する

何かを聞き取るとは、言語知識を活用し、また背景知識や文脈・場面を手掛かりに、予測・推測し、音声から意味を構築する過程です。

その過程の中から、言語を学ぶ。

聴解の3つの過程

ボトムアップ処理

言語を手がかりにして、理解を進める

トップダウン処理

背景知識や文脈・場面・挿絵などを手がかりに予測・推測して、仮定検証する聞き方

聴解授業のレベル別指導ポイント

初級

ミニマル・ペアを使い、表記と音をつなげる練習をすることから始まり、ある程度自然な速さで簡単な文や会話を聞く練習をする。

中級

フォーマルからインフォーマルな聞き取りへと幅を広げ、語彙を増やしながら、文法・表現・イントネーションを学習する。

上級

日常よく使われる慣用句やことわざ、オノマトペ、漢語、より専門的な語彙や表現を学ぶ。

聴解活動方法

リピーティング:教師の発話を繰り返す練習

ディクテーション:聞き取ったことを書く練習

シャドーイング:CDの発生などを聞きながら、そのまま即座に発話する練習

スキミング:おおよその内容や要旨をつかむ

スキャニング:必要な情報を聞き取る

タスクリスニング:何を聞き取るかという目標を定め、その事だけを聞き取る練習

マッチング:仮説を立てて、それが正しかどうか確認しながら聞く練習

ジグソーリスニング:何人かで分担して聞く活動

ピアリスニング:学習者同士で、協力して聴解活動をする

ディクトコンポ:文のディクテーション後、続きを考えて書かせる

ディクトグロス:まとまりのある内容を持つ短めの文章を、教師が何回か音読している間、学習者がキーワードのメモを取る。その後、学習者が個別にまたは他の学習者と協働して、元の文章と同等の内容・構成になるよう、文章を復元していく学習者同士で協力して聴解活動をする

再話:テキストで理解したことを自分の言葉で話させる活動

聴解授業の流れ

授業の前

教材の選択 教材の分析 聞き取りポイントと確認活動の設定 動機付けと背景知識の活性化

授業

前作業

キーワードの確認など

本作業

聞きながらタスクシート①に書く(書く内容は何かをしっかり説明する)※文ではなくて単語

1回目で大意をとり、2回目以降に細部を聞き取る

1回目でわからなかったところを、2回目で聞き取る

タスクシート②語彙の穴埋め(談話標識や進出表現)教える項目を穴埋めにする

後作業

聞いた内容について、感想や意見を述べ合う

進出表現を使った文を考えて、それをロールプレイ

ロールプレイの感想を述べ合う

授業の後

授業全体の評価とふりかえり

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