目次
メタモデルとは
私たちが何かの刺激を受けたときに、記憶を探索し、内部で表象されるものが「深部構造」であり、実際に言語化されて会話や文章で表現するものが「表層構造」と呼ばれています。「体験」から「深部構造」へ、また「深部構造」から「表層構造」へ移行します。移行時には情報が削除・歪曲・一般化されます。これが適切に行われれば削除・歪曲・一般化は必要なものといえます。しかし、コミュニケーションの中で必要な情報が削除されていたり、勝手な思い込みで歪曲されていたり、少数の体験から一般化したりしていることがあり、それをメタモデル・パターンと呼びます。
このメタモデルパターンに対して、メタモデルで問いかけることを、メタモデルで質問すると言います。
メタモデルの目的
■必要な情報を明確にする
■必要な情報を具体化する
■役に立つものと立たないものを分ける
■役に立たないビリーフを変化させる
■持っているリソースに気づかせる
■方向性を明確にする
メタモデル一覧
メタモデル 削除
単純削除
文章の中で必要な情報が削除されています。「これ」「それ」「あれ」などの言葉もよく使われます。
メタモデル質問例
■具体的に何ですか?
■いつですか?
■どこですか?
■あれって何ですか?
比較削除
比較がされているが、何に比較されているのかが明確ではない比較級や最上級の入った文章です。メタモデルで質問することで、話し手の見方や基準を明らかにすることができます。
メタモデル質問例
■何と比べて?
■誰と比べて?
■何の中で?
指示詞の欠如
指示詞とは、行動を起こしたり、行動によって影響を受けたりする人や物のことをいいます。指示詞の欠如の場合、その行動を起こしたり、影響を受けたりした主体が、削除されています。それがビリーフになることもあります。
メタモデル質問例
■誰が?
■誰の事?
■具体的には誰ですか?
不特定動詞
実際にその事象がどのようになされたり、起きたりしたのかが、削除されています。「具体的にどのように?」と問いかけ、副詞の部分を引き出すことで、削除されていた情報を回復します。
メタモデル質問例
■具体的にどのように?
■具体的に何が?
■どうやってわかるのですか?
名詞化
名詞にすることで静止し、固定してしまっている状態を、動詞に変えて質問することで、削除された情報を引き出し、変化をもたらします。
メタモデル質問例
■具体的にどういうことをするのですか?
■どのように~するのですか?
■誰が何をするのですか?
メタモデル 歪曲
因果関係
Aが原因となってBが起こることをいいます。「AのためにB」「AによってB」「AのせいでB」「AだからB」「AがBさせる」「BなぜならA」「AするとB」「AのおかげでB」などを含む文章が、因果関係を成していることが多いです。複合等価と重複した意味をもつ場合もあります。
メタモデル質問例
■具体的にAがどのようにBを起こさせるのですか?
■AとBはどのように関係するのですか?
■Aでなかったとしたら、どうですか?
複合等価
Aという行動や体験や振る舞いに対して、理由が説明されないまま、Bという意味づけがされます。「AだからB」「AそれゆえB」「AということはB」「AはBを意味する」「AはBを表している」などの言葉で表されますが、省略される場合もあります。因果関係の場合や、両方重複する意味の場合もあります。
メタモデル質問例
■AがBを意味するということが、どのようにしてわかるのですか?
■AがBの意味を持たなかったことはないのですか?
■AとBはどう関係するのですか?
マインドリーディング
話し手が、相手や他の人が考えていることや、信じていること、感じていることがわかっているかのように伝えます。「相手の考えが自分にわかる」と判断するものと「相手が自分の考えがわかるはずだ」というものの二通りがあります。
メタモデル質問例
■どうやってわかるのですか?
■何があなたにそう思わせるのですか?
ロストパフォーマティブ
誰によって判断されたのかは言及されずに、判断がなされる文章です。
メタモデル質問例
■誰が言っているのですか?
■何を基準にそう言うのですか?
■何を根拠に言うのですか?
メタモデル 一般化
全称限定詞
わずかなサンプルから、すべてがそうであるかのように一般化することです。「いつも」「決して~ない」「皆」「あらゆる」「すべて」「絶対」「何も~ない」「誰もが」などの言葉に注意を向けますが、それらが省略される場合もあります。その一般化のフレーズをリピートする、あえて誇張して馬鹿馬鹿しくする、反証を提示する、反証を引き出すような質問をすることで、ビリーフを変化させます。
メタモデル質問例
■一度も? 決して? 誰が? いつも?
■例外は一つもないのですか?
■本当に? 絶対に?
可能性のモダルオペレーター
「できる」「できない」「可能だ」「不可能だ」「かもしれない」「だろう」「でしょう」などの助動詞が、可能性のモダルオペレーターであり、可能性を広げるためにメタモデルを活用します。
メタモデル質問例
■もししたらどうなりますか?
■しなかったらどうなりますか?
■何があなたを止めているの?
■できないって、どういうところで思うのですか?
必要性のモダルオペレーター
「しなければならない」「するべきだ」「しなくちゃ」「してはいけない」「しなくてはだめ」「必要である」「当然~であるはず」などの助動詞に対して、質問をすることで可能性を広げます。
メタモデル質問例
■しなかったらどうなりますか?
■したらどうなりますか?
前提
ストレートに表現はしていないけれど、その文脈を理解しようとすると、特定のことが間接的に真実であるものとして伝わる文章を前提と言います。例えば「ジョーは皇居周りをランニングする」といえば、ジョーという存在がいて、皇居が存在していること、ランニングできる能力があるということ、皇居周りにランニングする場所があるということが前提となります。前提は積み重なれば積み重なるほど、否定しがたくなります。何が前提になっているか認識し、メタモデルで質問します。
メタモデル質問例
■何があなたにそう信じさせたのですか?
■~だと思っているのですか?
■~だということですか?
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