目次
談話分析・会話分析
談話
文よりも大きい言語単位として、複数の文が連続するひとまとまりの内容や構造を持った言語表現を示す。
会話分析とは
実際の会話データを研究の対象とするが、言語表現そのものではなく、そのような言語表現を用いる人々の社会的な相互行為の分析を通し、人々の社会的側面に注目する。
具体的には、人々の相互行為である会話の開始と終結、話者の交代、会話の修正などを分析すること。
開始部
会話の本題の前の開始の部分 切り出しの表現 例:あのー
開始部がないと、唐突な感じがする
本題
どんな会話でも本題の部分は存在する
終結部
会話の本題の後の終結の部分
終結部がないと聞き手に違和感やぞんざいな感じを与えてしまう
前終結
相手の情報提供に感謝し、これ以上新たな話題を持ち出さないことを告げる
例:理解したよ、ありがとう。 ⇒いえいえ
終結
例:じゃあね ⇒ じゃあね
隣接(ペア)
ペアになっている2つの発話で、それぞれが連続して発せられるもの
挨拶
おはよう ⇒ おはよう
問いと返答
今何時 ⇒ 3時
依頼と受諾/拒否
ペン貸してくれる? ⇒ どうぞ
勧誘と受諾/拒否
一緒に行かない? ⇒ いいよ
陳謝と軽減
申し訳ありません ⇒ お気になさらずに
不服と謝罪
どういうことですか? ⇒ 申し訳ありません
挿入連鎖
隣接ペアの間に別の隣接ペアが入り込むこと
ムーブ
意味的なひとまとまりを成す複数の発話の組み合わせをいう
一連の発話に見られる 依頼・受諾・感謝 の組み合わせなど
隣接ペアが2つの発話からなるペアなのに対し、ムーブはより大きな組み合わせを指す
例:おはよう ⇒ おはよう ⇒ 暑いですね ⇒ そうですね ⇒ お先にどうぞ ⇒ ありがとうございます ⇒ 何階ですか ⇒ 3階お願いします
優先応答と非優先応答
勧誘と受諾・拒否などの隣接ペアでは、2つ目の発話は、受諾か否定の可能性がある
優先応答
相手の期待通りの返答 受諾など
短い簡単な発話となる場合が多い
非優先応答
相手の期待に沿わない返答 否定など
言いさしや、曖昧な言い方になったり、いろいろな弁明が加わる
緩衝的表現(垣根表現)
発話内容に対して、話し手が断定的な態度や明言を避けるために用いる言語表現
例:多分、~じゃないかな。 何が好きですか?⇒麺類とか好きかな の「とか」
注釈表現
自分が述べる具体的な発話に対して、第三者的に、解説者風の抽象的な説明をすること
例
いろいろな考え方があるとは思うんだけど・・・
親の話はうるさいものかもしれないけど・・・・
当事者じゃないから言えることだけど・・・・
最後まで聞いてから考えて欲しいんだけど・・・
スモールトーク
挨拶的な役割を果たす会話であるが、会話に参加する人たちの人間関係を活性化し、コミュニケーションを円滑に進めるために用いられる重要なやりとり。
少し長い会話では、会話の本題に入る前に、相手の近況を聞いたり、一見すると意味のないような他愛のない会話をする場合が多い
談話標識(ディスコース・マーカー)
会話の流れをコントロールし、会話を円滑に進行させるための表現。発話の意思表示、会話の流れの調整など複数の機能がある。
呼びかけ、会話の切り出し
すみません あのー では
反論や対立を予告や情報の追加や話題転換
でも だけど あのさあ なんかさあ それと ていうか ところで そういえば
相づち
へえ ふーん はいはい ええ
フィラー
会話の中断を回避し、コミュニケーションをスムーズに進行させるために発する。 無音にならないように間を埋める。
えーと まあ あのー そうですねえ
ターン
会話における発話の順序のこと
実際の会話では、発話だけでなく、フィラー、目配せ、ジェスチャーなどの非言語手段によって行われることもある。
ターン・テイキング
ターンが交代すること。
会話において1人が話し始めてから、次の話者が話し始めるか、ポーズ(間)で区切られるまでの会話を指す。実質的な内容を持たない相づちやフィラーは含まれない。また、ターンの順番を積極的に取る(自分のターンが来るようにする)意味でも用いられる。
否定形
それは違うよ、なぜなら~ そうかなあ、私なら~ いや、ちょっと待って
同意系
そうそう、それでね ほんとだよね~それでさあ
ターン・イールティング
話し手が聞き手にターンを譲ること。
ターンを譲りたい場合は、話し手は、上昇イントネーションによって聞き手に質問したり、身振りや視線で相手の発話を促したり、ポーズ(間)をとったりする。会話の参加者は適切にターンが交替するように、それらに注意している。
~さんはどう思う? ~でいいと思う?
修復
発話が不明瞭な場合に明確にしたり、言い間違った場合に訂正したりすること。
他者指摘・自己修復
自己指摘・他者修復
自己指摘・自己修復
他者指摘・他者修復
結束性
発話あるいは文章の中で前後の文がどのように関連しているかという文の文の結びつき。
文法的な結びつき、語彙的な結びつき、前の要素・後の要素の結びつきなどがある。
文法的な結束性
文と文の間の文法的な結束性
指示
代用
省略
接続詞
語彙的な結束性
類義語や上位語下位語による文と文の間の語彙的な結束性
類義語
上位語と下位語
照応
ある文やその文の中の特定の語句が、他の文や語句と対応していること。
同じ名詞による「名詞照応」代名詞による「代名詞照応」名詞も代名詞もない「ゼロ照応」がある。
前照応と後照応
推論
談話を理解するとき、そこから与えられた情報と既有の知識(スキーマ)を利用し、明示されない事象について予想すること。
橋渡し推論
結束性をもとに別々の情報を関連付けすることで、テクストの内容を理解する。
精緻化推論
会話や文章の中には直接は出ていないことについて、明示的な情報や自分が持つ既有知識(スキーマ)を使用して推測すること。
イメージを膨らませてより深く理解するための推論で、内容理解に不可欠なものではない。
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