目次
語用論とは
意味論と語用論
意味論
文脈から切り離された文字通りの意味を扱う。
語用論
特定の文脈・状況の中での発話の解釈を扱う。
語内の意味と語外の意味
「語外の意味」にあたるものを、グライスは「会話の含意」と呼んでいる。
発話そのものの意味ではなく、ある文脈・状況で話し手が意図した意味内容のこと。
「会話の含意」は2つの側面から考える必要がある
1.同じ発話でも、様々な発話の意図が想定できる。
2.同じ発話の意図でも、様々な発話が用いられる。
発話行為論(言語行為論)
オースティンによって提案された発話と発話意図に関する語用論の考え方
語や文を発することにより遂行される行為を「発話行為」と呼び、これを「発語行為」「発語内行為」「発語媒介行為」の3段階に分け、発話と発話意図が伝わるメカニズムを分析した。
発語行為
ある人が何らかの発話をする行為そのもの
発語内行為
ある人が発話を行うことにより、聞き手に発話意図を伝えようとすること
発語媒介行為
ある人が発話を行うことで、聞き手にその発話意図が伝わり、相手が何らかの行動を起こすこと
間接発話行為(サール)
相手に何かの発話意図を伝えるのに、直接的ではなく、間接的な別の発話をすること。
例:「何時だと思っているの?」「もう11時よ」
疑問文や平叙文(肯定文・否定文)を用いて、命令を表している
適切性条件(参考)
命題内容条件
発話の中で命題内容が満たさなければならない条件
準備条件
発話の場面・状況に関する条件:命題内容は未来の行為でなければならない
誠実性条件
話し手の意図に関する条件:話し手は聞き手がある行為を行う能力があると信じている
本質条件
発話によって行為の遂行に何らかの責任・義務を負う:話し手の発話意図を受けて聞き手が行う行為に責任・義務を負う
協調の原理
話し手は、会話の目的や方向の流れを無視して、それと矛盾するような発言はせず、聞き手は、それを信じて話し手のいうことを理解しようと努め、話し手の言うことを脈略のない推論により解釈しているわけではない。
会話の公理
協調の原理には4つの会話の公理からなる
量の公理
必要な量の情報を提供し、必要な量以下・以上の情報を与えないこと
質の公理
自分が偽りだと思っていることや、確信していないことを言わないこと
皮肉や嫌みは質の公理を意図的に違反することに生じる表現効果
関係の公理
当面の状況と適切な関係を持っていることだけを言うこと
例:連休はどこかに出かけたの? 子供が風邪を引いちゃって
様式の公理
不明瞭な表現やあいまいな表現は使わず、簡潔に順序立てて言うこと
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