日本語教師の学習131/読解教材の分析

「読む」教室活動

4技能

インプット アウトプット
文字 読む 書く
音声 聞く 話す

言語知識

音声・文字・語彙・文型の習得

言語技能

4技能(読む・聞く・話す・書く)の向上

日々のコミュニケーションで行っていること

相手が伝えようとしていることを推測し、それを確認し(仮説検証)、それにどう応えればよいか考える。

外国語を習得する目的は、外国人とコミュニケーションすることである。

レベル

初級

JLPT

N5/N4

JFスタンダード

基礎段階の言語使用者

言語知識

具体的なもの

言語技能

短く単純

目的・目標

正確さ重視

中級

JLPT

N3/N2

JFスタンダード

自立した言語使用者

言語知識

抽象的なもの

言語技能

長く複雑

目的・目標

内容志向で流暢さ(自然にやり取りができる)重視

上級

JLPT

N1

JFスタンダード

熟達した言語使用者

言語知識

専門的で抽象的な内容

言語技能

複段落な文章

目的・目標

 

教える時の基本的な考え方

初級

言語知識を教える

正確さを重視

中上級

言語技能を教える

内容重視

「読・聞・話・書」の内容・メッセージを重視し、「読・聞・話・書」の活動から、言語知識・運用力をつける。

インプットからアウトプットへ

たくさんのインプットの中から「背景知識」(スキーマ)や「文脈・場面」(コンテキスト)を利用して、「予測・推測」を繰り返しながら「理解できるインプット」にし、それをアウトプットにつなげる。そして、アウトプットの過程において、モニターし、自分の不完全さに気づき、再度インプットに注意を向ける。
その繰り返しで運用力を伸ばす。

多技能統合型の授業デザイン

「読む、聞く、話す、書く」の1つだけを切り取らず、関連付ける。

流暢さの養成

言語知識を瞬時に引き出せるようになる。
言葉を探している印象を与えず、自然に自己表現できる。

授業で使う「読み物」

小説 新聞 雑誌 パンフレット カタログ メニュー レシピ 地図 まんが チラシ 取説 契約書 病院の問診票 薬の説明書 進学・就職の募集要項 役所・携帯電話会社からのお知らせ

読み物や目的によって、読み方を使い分けている

「読解」という行為

本来「読む」という行為は、文章の中に書かれた情報を受け取るだけの受動的な行為ではなく、自分の背景知識を使って、それと照らし合わせながら、文章の内容を再構築するような積極的で能動的な行為である。

文章を読むときにしていること

何かを読むとき、文脈・場面を手掛かりにして、自分の背景知識を使い、予測したり、推測したりし、理解を補っている。そして、読み進める中では、自分の理解を常に確認(モニター)しながら、目的を持って読んでいる。

「読む」授業の目的

日本語でコミュニケーションができるようになること。

読解の授業は、ただ字を読むのではなく、文脈から内容や筆者の意見について、学生に考えさせることが大切。

読解力を左右するのは、予測・推測力である。

読解授業の指導ポイント

初級

既習語彙や既習文型を使用した短い文で、中級以降に向けて読むための準備としての練習をする。

中級

説明文や評論文などの主従関係が構文的にはっきりしているものを使用。初級で学んだ知識を体系的に整理し、進出語彙や表現も習得しながら、文脈の中で確実にしていく練習をする。また、ボトムアップ方式からトップダウン方式の読解を行い、理解を深めていく必要もある。

上級

生教材を使用し、読み取った内容を話したり書いたりする練習をする。

読み方の種類

音読

声に出して読む

黙読

声に出さずに読む

多読

色々なバリエーションを読む

速読

トップダウンの読み方です

スキャニング:文章から必要な情報だけを探しながら速く読む読み方

スキミング:文章に早く目を通して、話の流れや大意をつかむ読み方

精読(インテンシブ・リーディング)

ボトムアップの読み方です

詳しく読む

言語志向

文章の含まれる言語項目(語彙・文型・文の構造など)に着目

内容志向

内容把握(筆者が伝えたいことなど)に重点を置く

「読む」活動

ピアリーディング

学習者同士が協力して、内容を確認したり、問題を解いたりする活動

ジグソーリーディング

何人かで分担して読み、読んだ内容を説明したりしながら、協働学習によって、課題解決する活動

タスクリーディング

何かの目的を与えて、その目的を達成するために必要な情報だけで読む

フレーズリーディング

意味の塊ごとに語順を変えずに読んでいく

 

読解授業の流れ

トップダウンモデル

見出し・写真・図・表

キーワード、社会文化的知識の確認、導入

予測や推測

目的を持って読むために大意的な質問を与え、全体的な内容について予測・推測させる

仮説検証

実際に読んで、自分の予測・推定と照らし合わせる

仮説の修正

修正することにより、文章を理解していく

ボトムアップモデル

文字

新しい語彙・文型を導入、説明、文型練習

単語

キーワードとなる語彙の意味の確認

本文の内容理解 大意から細部へ 接続詞・指示詞に注目し、丁寧に読む

文章全体

文全体を通しての内容確認

相互交流モデル

「トップダウンモデル」と「ボトムアップモデル」を相互に使う

言語技能授業の流れ

「授業準備」⇒「前作業」⇒「本作業」⇒「後作業」⇒「授業評価」

「読む」授業の流れ

授業の前に

読解の授業で読ませたい文章を選ぶ

選んだ文章について、学習者がそれを読む目的を考える

目的に合った読み方をさせるために「本活動」でどんな活動をさせるか、考える

読む目的や本作業と照らし合わせながら、「前作業」と「後作業」を考える

前作業

動機付け:学習者に「読みたい」という気持ちにさせる

学習者が持っているスキーマを呼び起こす

読むために必要な情報、言葉を確認する

本作業

目的を持って読む

理解するためにさまざまなストラテジーを使って読む

後作業

感想や意見を話したり、書いたりする

読み取った情報をもとに行動する

文章中の語彙や表現、文章構造などを使って、言語を学習する

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