日本語教師の学習127/児童・生徒への日本語教育実践

目次

日本語指導が必要な児童生徒が増えた背景

1970~1980 年代

中国帰国者

日本に永住帰国した中国・樺太(サハリン)残留邦人とその家族(帰国者)は、長年中国やサハリン(旧ソ連地域含む)での生活を経て日本へ帰国。

定住による学習者

インドシナ難民

1975 年、ベトナム・ラオス・カンボジア(総称してインドシナ三国)が社会主自国外へ脱出し、難民となった人々の総称。

イラン

日本とイランは 1974 年に、ビザ相互免除協定を締結。88 年にイラン・イラク戦争が休戦になった時、この協定を利用して多くのイラン人が仕事を求め訪日。

外国人花嫁

農村花嫁

1990~2000 年代

定住による学習者

産業構造・経済格差が生み出した学習者

出入国管理及び難民認定法(入管法)改正

1990 年、日本国に在留する外国人に与えられる在留資格の一種で、法務大臣が特別な理由を考慮し、5 年を超えない範囲で一定の在留期間を指定して居住を認める者。日本人や永住者と同じく日本での就労活動に対する制限はない。主な対象者は日系人とその配偶者、インドシナ難民、日本人や特別永住者の配偶者と死別・離婚した外国人、日本人の未成年・未婚の外国籍実子など

ニューカマーの増加

中国・韓国・ブラジル・ベトナムなど様々なルーツを持つ人々。

第一回外国人集住都市会議開催

外国人集住都市会議は浜松市の呼びかけで日本国内の外国人が多く住む街の自治体や国際交流協会
などが集まり、外国人住民が多数居住する都市の行政と地域の国際交流のために2001 年(平成13
年)5 月7 日に設立された組織
歴史
2001 年5 月7 日、静岡県浜松市で 2001 年度第1 回会議開催。
10 月19 日、同じく浜松市で「外国人集住都市公開首長会議」開催。「浜松宣言及び提言」を採択。
2002 年 浜松市で 2002 年度第 1 回会議開催。
11 月7 日、東京都で第 2 回東京会議開催。「外国人集住都市東京会議における 14 都市共同アピール」を採択。

加盟都市 2016 年4 月1 日現在
群馬県 – 太田市、大泉町/長野県 – 上田市、飯田市/岐阜県 -美濃加茂市/静岡県 – 浜松市、富士市、磐田市、掛川市、袋井市、湖西市、菊川市/愛知県 – 豊橋市、豊田市、小牧市/三重県 -津市、四日市市、鈴鹿市、亀山市、伊賀市/滋賀県 – 長浜市、甲賀市/岡山県 – 総社市
オブザーバー(愛知県 – 蒲郡市、新城市)

 

子どもの日本語教育の権利

ユニセフ

学習権宣言

学習権とは、読み書きの権利であり、問い続け、深く考える権利であり、想像し、創造する権利であり、自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる権利であり、あらゆる教育の手だてを得る権利であり、個人的・集団的力量を発達させる権利である。

人間の生存にとって不可欠な手段である。

1985 年の第四回ユネスコ(国連教育科学文化機関)国際成人教育会議で採択された宣言

児童の権利に関する条約

• 生きる権利 – すべての子どもの命が守られる権利
• 育つ権利 – 教育や医療、生活への支援などを受ける権利
• 守られる権利 – 暴力や搾取、有害な労働などから守られる権利
• 参加する権利 – 意見を表現しそれが尊重される権利、自由に団体を作る権利

1989 年11 月20 日に国連総会で採択。1990 年9 月2 日に発効し、日本国内では1994 年5 月22 日から効力が発生した。

以上の根拠から外国人児童生徒は、希望があれば、公立の義務教育諸学校に無償で受け入れられる。義務はないが、権利はある。

小学校・中学校での日本語教育

JSL: Japanese as Second Language

学ぶ力の育成を重視し、教科指導と日本語指導を統合的に行うカリキュラム

学校での対応

 取り出し授業

在籍学級での正規の授業から取り出して日本語指導を行う

入り込み授業

在籍学級での授業中に日本語指導教員が教室に入って学習をサポート

拠点校方式

児童・生徒を日本語教育指導体制が整備されている特定の学校に集中して在籍させる。

センター校方式

在籍校で日本語指導が不十分な場合、近隣の学校の日本語学級に定期的に通う。

バイリンガルと学校教育

バイリンガル

モノリンガル(monolingual)

一つの言語だけを話す人

バイリンガル(bilingual)

二つの言語を話す人

マルチリンガル(multilingual)

三つ以上の数の言語を話す人

バイリンガルの分類(2言語の熟達度)

均衡バイリンガル balanced bilingual

いろいろな場面で2つの言語を同じくらい流暢に使える。

偏重バイリンガル dominant bilingual

どちらかの言語が優勢。一方の言語のみが年齢相応のレベルまで発達している。

限定的バイリンガル(ダブル・リミテッド・バイリンガル、リミテッドバイリンガル、セミリンガル)

どちらの言語においても十分な言語能力を身につけていない場合

バイリンガルの分類(4技能の習得状況)

会話型バイリンガル

一方の言語が聞く・話すしかできない。

聴解型バイリンガル

一方の言語が聞けるだけである。

読み書き型バイリンガル(バイリテラル)

「聞く」「話す」「読む」「書く」ができる

バイリンガルの分類(2言語の習得時)

継起発達バイリンガル

1つのことばが先行して、その上に第2の言語が加わる場合

同時発達バイリンガル

毎日の生活を通して2つのことばに同時に接触する場合

バイリンガルの分類(文化獲得)

モノカルチュラル

一方の文化の価値観、行動パターンを身に着けている。

バイカルチュラル

両方の文化を身に着けている。

デカルチュラル

どこの文化にも属せず、文化的アイデンティティーを喪失している。

バイリンガル教育

BICS 伝達言語能力 (生活場面で必要とされる言語能力)

子供達は、友人との会話、買い物に必要な表現など日常生活に必要な語彙や流暢さを早い段階で習 得する。周囲の助け、ボディーランゲージなどの非言語、高コンテキスト・コミュニケーション

 

CALP 学力言語能力 (教科の学習場面で必要とされる言語能力)

教科の学習に参加するために必要な、分析・統合・類推など認知処理を支える言語能力が、CALP と 呼ばれる能力。習得に7,8年は必要とされる。

 

二か国語教育

イマ―ジョン

二言語使用に積極的

維持型バイリンガル教育

外国語で教科を学ぶ

多文化主義に基づく

早期イマージョン

幼稚園から小学校3 年生まで

中期イマージョン

小学校 4 年生から6 年生まで

後期イマージョン

中学生から高校生まで

完全イマージョン

全ての教科に目標言語を適用する教育方法

部分イマージョン

一部の教科でのみ目標言語を適用する教育方法。

サブマ―ジョン

二言語使用に積極的

移行型バイリンガル教育

少数言語話者を多数言語話者の中に入れる

同化主義に基づく

継承語

継承語

親から受け継いだ言葉

現地語

子供の育つ環境で毎日使う言葉

継承語維持の意義

• 両親、親戚とのコミュニケーションをすみやかにするため。
• 自らのヘリテッジに誇りをもつため。
• ヘリテッジ文化を保持、活性化するため。
• これからの国際社会において、異なる文化の橋渡し的役割をもつため

子供向け日本語教材

 

ESL

 

 

 

 

 

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